2025年冬号 令和7年度税制改正大綱<法人税関連>(日本)
2025年冬号 令和7年度税制改正大綱<法人税関連>(日本)
BDO Asia - ジャパンデスクニュースレター 2025年冬号
令和6年12月20日に令和7年度与党税制改正大綱が公表されましたが、当該税制改正大綱の中には、法人課税・国際課税関連について以下の項目が含まれております。
- 中小法人等の法人税の軽減税率の特例
- 中小企業投資促進税制
- 中小企業経営強化税制
- 企業版ふるさと納税
- 地域未来投資促進税制
- リース取引についての整備
- 非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定の算定方法等についての見直し
- 通算法人の行った株式分配に係るみなし配当の額の計算の見直し等
- グローバルミニマム課税への対応
- 外国子会社合算税制等の見直し
上記のうち本ニュースレターでは、①前回のニュースレターで解説した新リース会計基準の法人税法上の取り扱い、及び②外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)の改正内容に絞って解説します。
まず、リース会計基準については、令和6 年9月に借手側におけるオペレーティング・リース取引に関して、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を廃止するなどを主な改正点とする新リース会計基準が公表されましたが、一方で令和7年度与党税制改正大綱においては、税法上のリース取引及びリース以外の賃貸借取引については従来の取り扱いから大きな変更はないとされています。すなわち、会計上において新リース会計基準を適用する場合には、税法上の処理との不一致について法人税確定申告書において別表調整が必要になります。新リース会計基準の適用時期は、令和9年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用されるとなっており(早期適用も可能)、上場企業など金融商品取引法の適用をうける企業グループ各社や会社法上の大会社で、オペレーティング・リース取引として処理している固定資産(例えば不動産、機械、機器や車両のリース等)を数多く保有する法人にとっては、今後、法人税確定申告書における別表調整が煩雑・複雑になることが見込まれます。
次に、外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)の改正内容ですが、海外子会社が特定外国関係会社や対象外国関係会社に該当する場合には、会社単位の合算課税が必要になりますが、その合算課税のタイミングに変更がなされます。具体的には、従来は外国関係会社の事業年度終了日の翌日から2カ月を経過する日を含む親会社の事業年度に合算するとされていたものが、改正後は、外国関係会社の事業年度終了日の翌日から4カ月を経過する日を含む親会社の事業年度に合算するとされています。当該改正の影響を受けるのが、親会社が3月決算法人、海外子会社が12月決算法人の場合であります。すなわち、改正前においては、例えば海外子会社の2024年12月期の課税対象金額は、親会社の2025年3月期の所得に合算されることになっています。改正後は、海外子会社の2025年12月期の課税対象金額は、親会社の2027年3月期の所得に合算されることになります。そのため本改正によって、合算課税に係る作業が1年後倒しになるため、日本の親会社の税務担当者にとっては時間的な余裕が生じることになります。また、上記に関連して法人税確定申告書に添付・保存すべき書類についても簡素化がなされます。改正前は、税負担割合20%未満等の一定の外国関係会社に関しては以下の書類の添付・保存が必要でしたが、
-
貸借対照表及び損益計算書
-
株主資本等変動計算書及び損益金の処分に関する計算書
-
貸借対照表及び損益計算書に係る勘定科目内訳明細書
-
本店所在地国の法人税の申告書
-
その他の書類(例えば株主名簿)
改正後は、上記のうち②と③の書類の添付・保存が不要となります。本改正の適用時期については、経過措置はありますが(早期適用が可能) 、基本的には親会社の令和7年4月1日以後開始事業年度から適用(外国関係会社の令和7年2月1日以後終了事業年度に係る課税対象金額に限る)されます。
本ニュースレターでは紙面のスペースの関係上、税制改正大綱のうち2点しか触れられませんでしたが、今回の税制改正大綱で気になる項目があれば、下記担当者までお気軽にお問い合わせください。