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  • 2021年秋号
トピックス:

2021年秋号

2021年10月31日

はじめに

BDOインターナショナルは世界第5位の会計事務所ネットワークファームであり、現在、世界167の国・地域に1,658のオフィスを展開し、グループ全体として現在9.1万人を超えるパートナー・スタッフを擁しています。BDOインターナショナルでは監査業務を中心に、税務業務・アドバイザリー業務・アウトソーシング業務(記帳代行業務、給与計算代行業務、支払代行業務等)を世界各国において高水準にて提供しております。詳細についてはウェブサイトをご覧下さい。

https://www.bdo.global/en-gb/home

日本においては、BDO Japan株式会社のもと、三優監査法人、BDO税理士法人、BDO社会保険労務士法人等のメンバーファームを有しており、日本全体で300名を超えるメンバーを擁する中規模会計事務所のリーディング・ファームとなっています。日本においても、監査業務を中心に、税務業務・アドバイザリー業務・アウトソーシング業務等のプロフェッショナル・サービスを日本企業及び在日外国企業に対して提供しています。

一方、アジア地域においては、現在シンガポール・香港・インドネシア・ベトナム・タイに日本人スタッフがジャパンデスクメンバーとして常駐しており、日系企業による海外進出をサポートしています。具体的には、会社設立から記帳代行、給与計算代行、支払代行、監査、税務、M&A、コンサルティング、清算等、幅広いサービスを日系企業に対してワンストップ・サービスにて提供しています。

BDOジャパンデスクの強みは、各国ジャパンデスクメンバーの対応業務範囲の広さと、BDO Japan株式会社を中心にしたネットワークの繋がりの強さです。BDOジャパンデスクメンバーが中心となって四半期ごとに日本語でのニュースレターを配信しています。ニュースレターでは各国における会計・税務等の最新情報をお届けしています。

2021年秋号では、各国での雇用関連条例改正や税制改正、移転価格に関する最新情報を皆様にご提供しています。本稿のより詳細な情報をご入用の際には、各国のBDOジャパンデスクメンバーまでお気軽にお問い合わせください。

 

2021年秋号目次

  1. 【シンガポール】 第6版移転価格ガイドライン
  2. 【香港】 知っておきたい雇用関連条例の最新情報
  3. 【インドネシア】 審議中の税制改正案概要について
  4. 【ベトナム】 ベトナム政府によるCOVID-19の影響を受けた企業・労働者に対する税務労務支援
  5. 【タイ】 税務軽減措置と移転価格アップデート
  6. 【日本】 令和3年度税制改正における電子帳簿保存法の改正

 

 

【SINGAPORE】第6版移転価格ガイドライン

 

2021年8月10日、シンガポール内国歳入庁(IRAS)は第5版から3年半を経て、待望の第6版シンガポール移転価格ガイドライン(「第6版ガイドライン」)を公表しました。本号では、その概要をご紹介致します。

 

移転価格調査(Audit)への名称変更

2008年に導入された「移転価格コンサルテーション」が、「移転価格調査(Audit)」と改称されました。また、その実施目的として、「関連当事者間の取引が独立企業原則に則ったものでない場合には、シンガポール所得税法第34Dに基づく移転価格調整を検討する」ことが明記されました。このことは、シンガポールの移転価格課税の執行体制が本格化している動きと整合しています。

 

「良好な納税者」に対するサーチャージの減免規定

2018年から導入されたサーチャージ(移転価格特有のペナルティであり、移転価格調整額の5%)について、下記の要件を満たした場合に全部または一部が減免されることとなりました。

サーチャージ免除のための要件
(移転価格調査の場合)
   -調査に協力的であり、迅速な対応をしている
   -規定に基づいた適切な移転価格文書を完備している
   -税務コンプライアンス記録(期限内の申告、納税)が良好である

(自主的な過年度上方修正の場合)
 移転価格調査の場合の上記3要件に加えて、下記2要件を満たした場合にはサーチャージが減免される。
   -該当年度の税務申告期限から2年以内に修正を行うこと
   -IRASからの問い合わせや調査通知を受けていないこと

移転価格文書は事後的に作成されることも多いため、過去の移転価格ポジションの修正を会計帳簿に反映するには遅すぎることがあります。そのため、要件を満たせば、ペナルティを課されることなく過去の移転価格を修正することができるようになったことは歓迎すべきことと考えます。

 

関連者間金融取引

第6版ガイドラインでは、「関連者間の金融取引」に18ページが割かれています。以前のガイドラインでは、「関連者間ローン」という表題で9ページでした。このことが示すように、第6版ガイドラインでは、関連者間ローンのみならず、キャッシュプーリング、金融保証、ヘッジ、キャプティブ保険等、より広範な金融取引の移転価格をカバーする内容となっています。

例えば、今回「準株式」という概念が導入され、関連者間で行われる金銭貸借取引について、移転価格の観点から、実質的な負債なのかあるいは資本持分なのかを判断するためのガイダンスが提供されました。

また、第6版ガイドラインでは、同様の状況下にある第三者が同様に利息を取らずに融資を実行することを立証しない限り、無利息のローンは独立企業間取引とはみなさないことも明記されています。他にも、金融取引の移転価格について、詳細なガイダンスと例示の記載が追加されました。

追加項目は、2020年2月に公表された「OECD金融取引に関する移転価格ガイダンス」に整合する内容となっているのも特徴的です。

 

「移転価格文書作成についてのよくある質問(Q&A)」の追加

 第6版ガイドラインの付随資料として、「移転価格文書作成についてのよくある質問Q&A」が追加されました。この中で、移転価格文書は、一般的な情報ではなく、事業構造・サプライチェーン・戦略・関連者間取引に関する固有の情報を含み、IRASが独立企業価格を理解し、評価できるような文書であることが求められています。

 

低付加価値のグループ内役務提供(IGS

IRASは、納税者の負担を軽減するため、従来特定のルーティンサポートサービスについては、ベンチマーク分析をすることなく、5%のコストマークアップ率を適用できることとしてきましたが、これに該当しない低付加価値IGSについても、諸要件を満たせば、OECD簡便法(5%のコストマークアップ)を適用することが可能となりました。

 

担当:BDO シンガポール 笠井 麻友 [email protected] 

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【HONG KONG】知っておきたい雇用関連条例の最新情報

 

今回は、2021年7月に香港立法議会での審議を通過もしくは施行された2つの改正を記載します。

労働者災害補償条例の改正

本改正は、いわゆる労災の適用範囲を拡大することを目的としており、大型台風もしくはその他の甚大な自然災害によって引き起こされる“極限的な状況(extreme conditions)”下での通勤中の事故による障害及び死亡についても労災の範囲とするものです。2021年7月2日より施行され、同日以降に上記の状況下で負傷及び死亡した労働者に対して適用されます。

また、労働局は下記の状況下において、負傷または死亡につながる事故が発生した場合、労災事故と見なされることを強調しました。   

  • 台風のシグナル8以上、または赤もしくは黒の暴風雨警報発令時や、
  • “極限的な状況(extreme conditions)”が存在する期間(延長期間も含む)中で、
  • 通勤中における下記の場合
    • 就業開始時間から4時間以内に自宅から職場へ直行する最中、もしくは、就業時間終了後4時間以内に職場から自宅へ直帰する最中に事故が発生した場合

 

雇用条例の改正

本改正は2021年7月7日に立法議会を通過したものであり、法定休日を年間12日から17日へ段階的に増加させるものです。2年置きに1日ずつ増やします。



■ 改正の影響

上記の改正は労働者保護に資するものですが、その反面、労働者の補償範囲の拡大や従業員の法定休日の増加の結果として、労働者に対する保険料が増加してしまうこととなります。

本改正の具体的な内容は下記のウエブページをご覧ください。本件に関するご相談については、BDO香港の神谷までご連絡ください。弊社の専門家をご紹介させて頂きます。

https://www.bdo.global/en-gb/microsites/tax-newsletters/ges-news/july-2021-issue/hong-kong-what-employers-should-know-about-hong-kong-s-latest-employment-related-legislative-amend

(BDO Globalウェブサイト)

 

担当:BDO香港 神谷 隆行 [email protected]

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【INDONESIA】審議中の税制改正案概要について

 

はじめに

今回はインドネシア国会において審議中の税制改正法案の概要について記述致します。なお記述した事柄は2021年9月下旬時点での情報に基づいて執筆しております。執筆時点において法案は審議中であり、今後の審議により法案の中身が変化する可能性があることを予めご認識・ご了承ください。

インドネシアは約2億7,000万人(最新の国勢調査に基づく)の人口を擁する国ではありますが、税に関連する指標をみると、税務番号を保有する国民は3,870万人に留まっています。また税収のGDP比率はOECD加盟国の平均値は34.3%ですが、インドネシアは11.9%でありこれはタイやフィリピンよりも低い比率となっております。

限られた対象から税を徴収していることもありインドネシアは慢性的な税収不足に悩まされていました。そのような状況でCovid-19に起因するパンデミックが発生し、パンデミック対応予算を確保するために法に規定されていた財政赤字の上限を撤廃する措置を期間限定で導入しました。それにより追加で国債を発行する形で予算は確保できましたが、中長期的な課題として残っていた税収を増加させる必要性が従来よりも増してきました。安定的に一定の税収を確保するためにインドネシア政府は税制改正案を国会に提出しました。税制改正案は現在も国会で審議中ですが、改正案の中で注目されるポイントは以下になります。

 

税制改正案での主要ポイント

  • 炭素税の導入
  • 付加価値税(Value Added Tax)の税率引き上げ
  • 個人所得税の新たな税率カテゴリーの追加
  • 法人税率の据え置き(次年度の引き下げ措置の撤廃)

炭素税は法人及び個人が二酸化炭素(CO2)を排出した際に課税するもので、1kgあたりIDR 30(約0.2円)を課税することが検討されています。付加価値税については現行の10%から12%への引き上げを段階的に実施していくことが検討されており、具体的には2022年に11%へ、2025年までに12%へ引き上げるものです。個人所得税については現在4つの税率区分があり最高税率は30%となっていますが、審議中の案では新たに50億ルピア(約3,900万円)を超える課税所得分については35%の税率を適用する、また既存の4つの税率区分の範囲を変更することも検討されています。法人税率については、法律代行政令2020年第1号に基づいて2022年以降は20%に引き下げられる予定でしたが、現在は現行税率である22%を来年以降も維持する形で審議が進んでいます。

なお、法案の中に含まれていた代替ミニマム税に関してですが、これは赤字になっている企業の中で一定の条件に合致する場合赤字であっても最低限の課税を課すものですが、執筆時点での情報によれば法案から削除された模様です。

 

租税特赦

税収拡大措置に関連して租税特赦(タックスアムネスティ)を再度導入することも審議されています。再度導入と明記したのは今回導入された場合3回目の措置となります。初めての租税特赦はジョコ・ウィドド現大統領の前任者であるスシロ・バンバン・ユドヨノ大統領時代に導入、2度目は現大統領の1期目の任期中に実施され、どちらもインドネシアにおける税収増加に貢献しました。今回実施が検討されているものは特定期間内に獲得した未申告資産を2022年1月から6月の間に申告すれば租税特赦が利用可能という概要になっています。

 

さいごに

インドネシア国会に占める与党の割合は過半数を優に超えているため、税制改正案は可決される見込みが高いと想定されます。しかしながら法案の中身については可決までに修正が加えられると予想され今回記述した案のままで可決されるかどうかは不透明な状況です。読者の皆様におかれましては、このような税制改正案がインドネシア国会において審議されていることに留意いただき、今後の動向に注意を払っていただければと存じます。

 

担当:BDOインドネシア 前田 哲宏 [email protected] 

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【VIETNAM】 ベトナム政府によるCOVID-19の影響を受けた企業・労働者に対する税務労務支援

 

2021年10月現在、ベトナム国内における新型コロナウィルス感染症の拡大も漸く第4波のピークを越え、徐々に社会的隔離措置も緩和が進んで来ました。本稿では、現在発表されているベトナム政府による支援策を、主に企業と労働者に対する税務・労務面から御紹介させて頂きます。
 

税務申告書類の提出期限遅延に対する行政処分の免除

COVID-19禍により隔離もしくは封鎖されたエリアに本社や住所がある企業(組織)、個人納税者、並びに管轄当局により隔離された個人は、当該隔離期間中(社会的隔離期間、地域検疫期間を含む)に税務申告書を提出義務があるが提出出来ず遅延するに至った場合には、行政処分が免除されます。

(2021年7月19日付ホーチミン税務当局オフィシャルレターNo.6770/CTTPHCM-KK、及び2021年7月29日付ハノイ税務当局No.29592/CTHN-KK)

 

隔離検査費用の税務上の損金算入

外国人駐在員の隔離費用の損金算入: 労働契約書において会社が駐在員の家賃を負担することが明記されており、ホテル代等請求書、経費支払証憑条件を充たすことで損金算入が可能です。会社が負担し銀行送金で決済した航空券の購入費用も、要件に従い損金算入可能。

PCR検査等のCOVID-19検査費用の損金算入: 当該費用は労働者に直接支払われる福利厚生費用と見なし、月次平均賃金を越えない限り損金算入が可能とする。なお損金算入には現行規定に適合する証憑類を備える必要があります。なお個人所得税の計算においては、会社によって支払われた隔離費用は駐在員の課税所得として扱われることに注意が必要です。

(2021年11月26日付オフィシャルレター5032/TCT-CS)

 

雇用主に係わる保険料の免除・納付の一時停止措置

労働災害・職業病基金に納付する保険料の免除: 雇用主は、2021年7月1日から2022年6月22日までの12か月間、労働災害職業病基金に対する保険料納付を要さない。代わりに、当該納付するはずの金額を、労働者のCOVID-19感染防止対策に充当する。

年金・死亡手当基金への保険料の納付の一時停止: 雇用主が社会保険料を充分支払った場合、または2021年4月末まで年金死亡手当基金への保険料納付を一時停止しているがCOVID-19の影響により社会保険に加入する労働者数が2021年4月と比べて15%以上減少した場合、申請から6か月間、年金・死亡手当基金への保険料納付を一時停止することが可能。



労働者に対する医療保険料免除

労働傷病兵社会省は、COVID-19の影響を受けた労働者に対する医療保険料免除に関する公文書を発出し、労働契約の履行が一時停止されている労働者、政府機関の指導に従い事業活動の一時停止を余儀なくされた企業、及び無給休暇となった労働者に対し、2021年6月~2022年1月の8か月間医療保険料を免除することとした。また、ベトナム社会保険機関は、失業した労働者の健康保険証の効力を、失業前に2年以上続けて医療保険に加入していることが条件として、最大8か月間維持する案に同意しています。

 

今回COVID-19の厳しい社会的隔離措置は、企業の経済活動・個人の生活に多大な影響を与えました。

ベトナム政府による企業・労働者に対する支援策は、上記以外にも多数、各省各地域で実施されており、在住地域管轄当局の発表を確認する必要があります。

サポートが必要な際は、どうぞお気軽にお問い合わせ下さい。

 

担当:BDOベトナム 村上 拡介 [email protected]

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【THAILAND】税務軽減措置と移転価格アップデート

 

税務申告期限及び付加価値税(VAT)率7%の延長措置

COVID-19パンデミックによる納税者の負担を緩和するため、タイ財務省は税務申告期限の延長と、歳入局が一定の加算税や罰金を減免することを承認しました。さらに、7%の付加価値税率は2021年9月30日で終了する予定でしたが、2021年8月24日にタイ財務省は、2021年10月1日から2023年9月30日までの2年間、付加価値税率を7%に据え置くことが閣議決定されたと発表しました。

また、以下の表の通り、源泉税、付加価値税(VAT)、特定事業税の税務申告に関し、電子申告の場合に限り申告期限の延長措置が継続されます(紙ベースの申告の場合は、延長は適用されません)。



加算税及び罰金の減免

VAT及び特定事業税が延長後の期限を過ぎて申告された場合でも、未納税額と延滞税を全額支払えば加算税が免除されます。2021年9月から12月に申告期限が到来する場合で、延長後の申告期限から3ヶ月以内に申告を行い、未納税額の少なくとも25%を納付した場合、加算税は未納税額の2%まで減額されます。

歳入局は罰金も最低限に減額しました。例えば、2,000バーツ(約6,800円)を超えない罰金は1バーツ(約3.4円)に、5,000バーツ(約17,000円)を超えない罰金は2バーツ(約6.8円)に減額されます。 

 

移転価格文書及び使用言語に関するアップデート

タイ国歳入法第71条の2に関し、歳入局は2021年9月30日付で移転価格文書作成要件に関する補足説明を歳入局長官告示407号にて発表しました。当告示では調査官へ提出されるべき移転価格文書に含めなければならない情報と文書について記載しています。また、移転価格文書の記載はタイ語表記とすることを公式に命じました。

当告示は2021年1月1日以降開始の事業年度より適用されます。

当告示ではさらに、年次ベースでのベンチマーク分析を必要としない一定の法人についても以下の通り規定しています。

1. 以下の全ての要件を満たす法人:

  • 事業年度の年間売上が5億バーツ(約17億円)以下であること
  • 異なる法人税率が適用される関連者との取引がないこと
  • 国外関連者との取引がないこと
  • 取引相手の関連者が、会計年度の法人税務上、損金算入可能な損失(過年度或いは当年度分)を計上していないこと

2. タイ国税務当局と特定の合意(事前確認等)を有する法人

これらの法人のみ 年次のベンチマーク分析を免除されますが、果たす機能、使用される資産、負担するリスクの詳細を含む移転価格方針の作成については免除されず、規定の情報と根拠資料は全て含めなければなりません。移転価格開示フォームの提出が必要となる年間売上金額については、2億バーツ(約6億8千万円)のままで変更はございません。

※1バーツ3.4 円で換算

 

担当:BDOタイ 水上 大輔 [email protected] 

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【JAPAN】令和3年度税制改正における電子帳簿保存法の改正

 

令和3年度の税制改正において、「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等 の特例に関する法律(以下、「電子帳簿保存法」とする。)」の改正等が行われ、帳簿書類を電子的に保存する際の手続等について、抜本的な見直しがなされた。そもそも電子帳簿保存法とは、各税法で原則紙での保存が義務づけられている帳簿書類について一定の要件を満たした上で電磁的記録(電子データ)による保存を可能とすること及び電子的に授受した取引情報の保存義務等を定めた法律のことであるが、電子帳簿保存法において、電磁的記録による保存は、大きく以下の3種類に区分される。



令和3年度の税制改正では、日本における経済社会のデジタル化を踏まえ、経理の電子化による生産性や記帳水準の向上等に資する目的で、上記3種類の電磁的記録による保存について、それぞれ以下のような改正がなされた(令和4年1月1日施行)。

 

電子帳簿等保存に関する改正事項

これまで電子的に作成した国税関係帳簿を電磁的記録により保存する場合には、事前に税務署長の承認が必要だったが、事業者の事務負担を軽減するため、事前承認は不要とされた(電子的に作成した国税関係書類を電磁的記録により保存する場合についても同様)。また、優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置(5%軽減)が整備された。さらに、正規の簿記の原則に従って記録されるといった最低限の要件を満たす電子帳簿についても、電磁的記録による保存等が可能となった。

 

スキャナ保存に関する改正事項

スキャナ保存に関しても、以下の4項目について、令和3年度の税制改正における改正事項となった。

  1. 税務署長の事前承認制度が廃止された。
  2. タイムスタンプ要件、検索要件等について要件が緩和された。例えば、電磁的記録について訂正または削除を行った場合に、これらの事実及び内容を確認することができるクラウド等において、入力期間内にその電磁的記録の保存を行ったことを確認することができるときは、タイムスタンプの付与に代えることができるとされた。
  3. 適正事務処理要件(具体的には、相互けん制、定期的な検査及び再発防止策の社内規程整備等のこと)が廃止された。
  4. スキャナ保存された電磁的記録に関連した不正があった場合における重加算税の加重措置(10%加重)が整備された。

 

電子取引に関する改正事項

電子取引の保存要件には、真実性の要件と可視性の要件の2つがあるが、今回の税制改正によってタイムスタンプ要件に係るタイムスタンプの付与期間及び検索要件に係る検索項目に関して「スキャナ保存に関する改正事項」と同趣旨の改正が行われたほか、基準期間の売上高が1,000 万円以下である者について、税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合においては、検索要件の全てが不要とされた。また、申告所得税及び法人税における電子取引の取引情報に係る電磁的記録について、当該電磁的記録の出力書面等の保存をもってその電磁的記録の保存に代えることができる措置が廃止されるとともに、電子取引の取引情報に係る電磁的記録に関して、隠蔽し、または仮装された事実があった場合、当該事実に関し生じた申告漏れ等に課される重加算税が 10%加重される措置が整備された。

上記は電子帳簿保存法に係る改正内容の概要のみを示したものであり、より詳細な内容については、国税庁のホームページを参照、あるいは、BDO税理士法人の以下の担当者までお問い合わせ下さい。

 

担当:BDO税理士法人 税務パートナー 岸  賢一郎 [email protected]

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